Future Signs 未来の兆し100 特別対談 バーチャルとリアルの価値 バーチャルが進化するほど、リアルが重みを持つ社会になる

フューチャーセッションズはこれまで、多様な方々と、社会進化につながる新しい価値を共創し続けてきました。会社設立から10年の節目を迎え、芽生えたのは、これまで関わってきた方々が今どんな未来を信じているのか問いかけてみたいという想いでした。「よりよい未来」の解像度を上げ、これから先の10年を描く礎としていくために。共創パートナーのみなさんに話をうかがって見えてきた、「未来の兆し」を共有していきます。

株式会社ソニックガーデン

Future Sessions

フューチャーセッションズが起業を決めて、法人登記をする以前から、システム開発について相談。起業後すぐに開催したイベント「フューチャーセッション・ウィーク 2012」用のシステムの立ち上げから担当した。このシステムを進化させ、さまざまな複雑な問題を解決するために、多様な人々との創造的な対話を通して、未来に向けてのアクションを生み出すための場づくり「フューチャーセッション」を広めるためのプラットフォーム「OUR FUTURES」を共創し、今年で10年を迎えた。

テクノロジーは、
環境の変化があって
はじめて社会に貢献する

昨年、ソニックガーデンさんは10周年を迎えられましたね。

倉貫

フューチャーセッションズさんも今年で10周年、月日が経つのは早いですね。ソニックガーデンとほぼ同時期に事業をはじめられたこともあって、創業同期だと思っています。僕が2011年に独立した際には、プログラマをなさっていたこともあり、筧さんのことは仕事を通じて知っていて。フューチャーセッションズ創業者の野村さんも昔からの知りあいだったので、2012年の創業前に「こういう会社をつくるんだけど、システム開発が必要なので、ソニックガーデンさんにお願いできますか?」と依頼をいただきました。

まだフューチャーセッションズが株式会社として登記する前の相談でした。

倉貫

ずいぶん早い段階でのご相談だと思いましたが(笑)、フューチャーセッションズさんと僕の仲なので、もうこれは受けるしかないと思いました。

当時から、倉貫さんは「納品のない受託開発」(※)という新しいソフトウェア開発のあり方を提案されていました。この新しいビジネスモデルにより、お客さまは少額からソフトウェア開発に取り組むことができ、さらに、プログラマが仕事を幸せに続けられる社会に繋がるのだと熱い想いを持ちながら取り組んでいるのを見て、私たちもぜひ倉貫さんに相談しに行こう!と思いました。
あらゆる人々にフューチャーセッションのことを知ってもらい、参加してもらえるようなシステムを作りたいと相談して生まれたのが、さまざまなフューチャーセッションの企画運営を支援し、つなげるためのプラットフォーム「OUR FUTURES」でしたね。

(※)「納品のない受託開発」…ソニックガーデンの提供する月額定額のシステム開発サービス。一気にシステムをつくるのではなく、クライアントと相談し、考えながら最適なシステムづくりを実現している。

倉貫

いやあ、お互い10年で随分と遠いところまで来ましたね!

いやいや、ソニックガーデンさんは僕たちの憧れです。倉貫さんたちが10年前から取り組まれていたことに、時代がようやく追いついたという印象があります。例えばリモートワーク。コロナ禍で普及が加速しましたが、ソニックガーデンさんではずっと以前から実施していましたね。

倉貫

リモートワークも、最初は必要に迫られて仕方なく実施していただけなんです。それが今は世の中で主流になってきていることに驚いていますね。

もともとリモートワークを主流にしようと思っていたわけではなくて、必要に応じて働き方を選択した結果、気づいたらリモートワークが社内で主流になっていた、ということですよね。ソニックガーデンさんは、創業時から新しいビジネスモデルを提案されていて、プログラマの新しい働き方を生み出そうと動いていました。意図して取り組まれたわけではないのかもしれませんが、振り返ると常に「働き方先進企業」といえる存在になっているな、と思います。倉貫さんたちが取り組んできたことが、10年後主流になるなんて予想していませんでした。

倉貫

先進するつもりがなかったのに、先進してしまいました(笑)。

そんな形で気づいたら先進している倉貫さんですが(笑)、10年後、社会や業界にインパクトを与える大きな出来事として、どんなことが想像できますか?

倉貫

この10年で、新型コロナウイルスが流行して、リモートワークが主流になる社会を予想できなかったことを思い返すと、10年後の未来については改めて全く想像がつきません。我々の想像を超える出来事が起こることしか想像できないですね。

そうですよね。僕も、10年前は倉貫さんたちがリモートワークに取り組んでいることも知っていたし、いいなあと思っていましたけど、予想もしなかったウイルスの流行にともなって、こんなにも急に普及するとは正直思っていませんでした。

倉貫

高度なテクノロジーの存在だけでは社会は変わらなくて、それを必要とする環境が生まれることで、人々の生活は一気に変化するのだと感じましたね。 例えば、ZoomなどのWeb会議ツールもコロナ以前から存在していたけれど、使われることはあまりなかった。ウイルスが流行して、人と人が直接会うことができない環境が生まれて、急速に利用されるようになりました。

この先10年、どのようなテクノロジーが普及しそうですか?

倉貫

例えば、環境の変化によっては、メタバース(※)が広まる可能性はあると思います。技術的な進化の余地はまだまだあるものの、メタバースの技術は20年以上前から存在しているんです。でも劇的に広まってはいないですよね。

(※)メタバース…アバターを介して人々が交流をしたり、仕事をすることができるデジタルの仮想空間のこと。

どのような環境がメタバースの認知や利用を増やしていくと思いますか?

倉貫

ウイルスの流行や戦争の影響で、人々が現実世界の「モノ」を大切にし、消費を抑えようとした時、仮想空間への需要が高まるのではないかと思います。
例えば、コロナ禍で各国のロックダウン等により給湯器の部品が手に入りづらくなるため、給湯器の故障を防ぐ方法などがあちこちで拡散されていました。また、ロシアとウクライナの戦争により物流の滞りも発生しています。もしかしたら今後、モノを買い換えることも容易ではない世界になるかもしれません。でも、新しいモノを手にしたり、変化を楽しみたいというのが人間。それを実現できる日常のエンターテイメントの場として、バーチャルなメタバース空間が普及していく可能性はあるかもしれないですね。

メタバースの技術が生まれたから、というよりも社会で今までの生活が一変するような出来事があって、必要に迫られてメタバースが広がる、という流れが自然だと思います。

なるほど、それは面白いですね。僕は、メタバースは今後、人々のセカンドライフを充実させるための手段として普及していくのかな、くらいの浅い想像しかしていなかったのですが、社会の要請があってメタバースが進化していく流れは現実として起こりそうですね。

倉貫

僕も以前は、リアルの価値が棄損していって、バーチャルの価値が高まって行く未来を想像していたんですが、むしろ逆で。リアルのモノの価値が高まるほど、バーチャルへの需要が高まるのかもしれない、と、10年間で社会の変化に気づきました。とはいえ、どんなに予想しても、予想もしなかったことが起きるのが世の常なので、この予想も大きく外れるかもしれません(笑)。

敬遠されがちな
プログラマの教育に
率先して取り組みたい

これからの10年、倉貫さんご自身が取り組んでみたいことについて教えてください。

倉貫

「社会のためにどう貢献するか」という壮大なテーマで語ることはできないのですが、ソフトウェア開発者を一人でも多く育て、増やしていくことにさらに力を入れていきたいですね。社会や世界をより良いものにしていく人や事業を支えるソフトウェアを作ることのできる人材が増えることで、日本のソフトウェア開発を高い水準に押し上げることができたらと思っています。

倉貫さんは、創業した10年以上前からプログラマが活き活きと働ける職場をつくろうと取り組まれていますね。

倉貫

11年前の創業時、システム開発の業界は、僕が理想とするような良い働き方ができていませんでした。僕自身もプログラマだったので、自分が働きたいと思える会社をつくりたいというのが創業のきっかけです。何より、一緒に創業してくれたメンバーも全員プログラマで、上場企業を辞めて、僕と一緒に働いてくれたんです。そのメンバーを幸せにしないと会社をやる意味がないなと思ったことが、創業時のモチベーションでしたね。当時は「社会の課題を解決するぞ!」という高い志も正直なくて。「まずは自分たちが幸せになるぞ!」という意気込みでやっていたら自然と共感してくれる仲間が集まって、また、その仲間たちを幸せにするにはどうしたらいいかを考えていくうちに、気づいたら50名の従業員を抱える会社になっていました。

創業から11年経って、プログラマが働く環境の変化は感じますか?

倉貫

幸せに働けるプログラマは増えていると感じています。プログラマやエンジニアなどは人材不足ということもあり、希少性も、報酬も10年前に比べると格段にアップしています。プログラマやエンジニアを抱えるスタートアップ企業やBtoBの事業会社が増えることで、働く場所の選択肢も増えています。この10年で自分たちも多少なりともそこに貢献することができたかな、と思います。

創業当初の倉貫さんの想いは、約10年でかなり実現されてきたのですね。次の10年は、幸せなプログラマを一人でも多く増やすために、どのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

倉貫

働く環境が整ってきたとはいえ、業界において、プログラマやエンジニアの人材不足が課題となっています。そこに何かできることがあると感じています。

プログラマやエンジニアの人材不足はなぜ発生しているのですか?

倉貫

原因の一つとして、「求める人材と現実のギャップ」が挙げられると思います。昨今はプログラミングスクールも、学ぶ人も増えています。ところが、スクールを出た人がすぐに一人前のプログラマとして仕事ができるわけではありません。プログラマの仕事は、チームメンバーの実力が同等だと良いパフォーマンスを発揮しますが、チームに1人でも初心者がいると、プラスの戦力になるどころかマイナスになってしまう。プログラマやエンジニアの仕事はルーティンの作業はなく、毎回案件ごとに最適な方法を選択できるような経験値が求められるので、1人前になるまで少なくとも3〜5年はかかります。今、業界に必要なのは人材の「育成」ですが、プログラマの人材流動性が高まっていることもあり、せっかく人材を育てても辞めてしまう。だから企業はプログラマの育成に消極的になる、という負のスパイラルが生じているんです。

人材不足という課題に対し、ソニックガーデンさんではどのようなことを行なっていきたいと考えていますか?

倉貫

ソニックガーデンで人材が育つ場所を提供したい、と思っています。若い人材を育てることに投資することは、ソニックガーデンの考え方や働き方を身につけた人材が世の中に増えることにつながります。それは「幸せに働くプログラマが増える」ことでもあり、僕の望む世界です。

素晴らしいことですね。人材育成のために今はどのようなことに取り組んでいるのですか?

倉貫

今年からトレーニングセンターという教育専門のセクションをつくり、プログラミングの経験の浅い方の採用をはじめました。プログラミングの仕事というのは、人数が多ければ多いほど沢山の仕事をこなせるかというと、そうではないんですね。例えると、プログラミングはひとつの精密機械をつくるようなものなんです。数ある部品の中のひとつだけを素人がつくっているとなると、精密機械の全体がおかしくなりますよね。それと同じで、プログラミングも一部を経験の浅い人が担ったとしても、そこの質が悪ければベテラン勢がチェックしてつくり直す手間が発生してしまう。だから、経験の浅いプログラマは数年間、ベテランのプログラマの仕事の一部を手伝いながらしっかり経験を積むまで育てることが必要なんです。そこの育成コストを僕の会社で担っていこうという考えです。

お話を聞いていると、取り組むことは変わっても、プログラマが働く環境をより良くしていきたいという想いは、創業時から変わらず一貫しているなと思いました。

倉貫

経験の浅い方だからこその強みもあるんです。愛情を持って育てることで、僕らのマインドや仕事の仕方をよりしっかり吸収してもらえ、より強固な関係性がつくりあげられていく。一緒に創業したメンバーのうち数名も、前職で僕が新卒から教育をさせてもらいました。だからこそ強い繋がりと信頼感が生まれ、一緒に事業を起こすことができたんだと思います。

ソニックガーデンの合宿の様子。仕事面だけでなく、リアルの交流を通じた教育も重視している。

バーチャルをきわめた
僕たちだからこそ、
リアルな関係を
今後ますます重視する

「むら」づくりにも着手されているとお伺いしました。そのことについて教えてください。

倉貫

僕の会社はずっと全員がリモートワークをしています。これから先、働き方をどう発展させるかを考えたときに、バーチャルで働く感覚を研鑽することももちろん重要なのですが、それ以上に現実世界での体験や感覚の共有がとても大切だと考えています。人間がリアルな繋がりを感じる瞬間って、一緒に食事をしたり、遊びを一緒にやってみたり、夜遅くまで語りあったりする時だと思います。だから、僕の会社では昔から「合宿」を実施しています。一緒に働くだけならばリアルの良さはそこまで感じられないし、むしろ仕事をするのはオンラインで十分だと思っています。オフィスをつくってそこに出社してリアルで一緒に仕事するよりも、仲間と寝食を共にする場をつくる方がリアルの価値が高まるなと思うんです。

仲間とのリアルな関係性を深める場をつくりたい、というのが「むら」づくりのきっかけになったわけですね。

倉貫

いつでも集まりたいときに集まって、仲間と寝食を共にできる拠点をつくろうと思ったのがはじまりです。今、僕たちの拠点の候補地は、神奈川県唯一の村である清川村のとある場所です。ご縁があって、村の方とうちの社員も仲良くなっていて。せっかく拠点をつくるのなら、その地域の方々との関係性も深めていきたいと思って取り組んでいます。「都内のIT企業が合宿所をつくって勝手に何かやっている」と思われてしまっては、地域の方々に歓迎されませんよね。仲間とのリアルな関係を大切にする拠点だからこそ、地域の方々とも交流し、一緒に畑を耕したり、地域の仕事をしてみたりしよう、と考えていたら、これは「むらづくり」に近いことなんじゃないかと思いはじめました。

もともと僕の会社は創業時、5人ほどのチームだったのですが、人数が増えてきて30名くらいになると全員で同じ仕事をすることはなくなりました。そんな中で会社のメンバーに共通していることって、社会的ミッションというより、「自分たちにとって居心地の良い、持続的に発展していける場をつくっていきたい」という想いなんです。うちの会社には「チーム」という呼び方より、「コミュニティ」と呼ぶのがふさわしいな、とふと思ったんです。そのことも「むら」づくりに思い至ったきっかけになっていますね。

最初に「むら」と聞いたときは、リモートワークを辞めてどこかに集まって仕事をすることを想像したのですが、全然違うんですね。リモートワークを中心に仕事を進める一方で、仕事以外のシーンにおけるリアルをますます重視していく、とても面白い取り組みです。

倉貫

10年前は、うちの会社は「リモートワークのできる会社」として、リモートワークをしたい方々が集まってきた時期もありました。これから、ソニックガーデンならではの求心力はリアルな「むら」を持っていることになっていくといいなと思います。そこで経験を積み、成長したいという若者が集まってきたら、さらに面白いことが起きるのではないかと思っています。

リモートワークにいち早く取り組み、バーチャルを突き詰めた倉貫さんがおっしゃるからこそ、リアルな関係の重要性については説得力がありますね。

倉貫

会社として土地を買って、建物をつくるのは初めてのことなので色々と苦労していますが、会社のみんなで新たなことにチャレンジするのは楽しいです。今は村役場、測量事務所、設計事務所の方々などと取り組んでいるのですが、建物をつくるときに、僕らがやっている「納品のない受託開発」を応用できないかという話もしています。建設ビジネスのエポックメイキングなことになったら面白いですね。

清川村の測量の様子

「過去への意味づけ」が
共創する未来

最後に、これからの未来をさまざまな会社や人々と共創していくために、重要なことはなんだと思いますか?

倉貫

この10年を振り返ってみると、自分は実現したい未来を想像して、今自分のやるべきことに取り組むバックキャスティングをほとんどしてきませんでした。自分は未来を想像するのが下手すぎるんですね。代わりに何をしてきたかというと、「自分のやった取り組みへの意味づけ」です。

過去を振り返って、その取り組みに意味を与える、ということですか?

倉貫

例えば、ソニックガーデンがリモートワークをはじめたきっかけは、創業時のメンバーのひとりが、アイルランドに移住したことがきっかけでした。移住しても仕事を続けてもらうにはどうしたらいいか、懸命に考えた結果がリモートワークだったんです。その後も、会社の規模を大きくしたいと社員を募集したけれど、東京だけだと人が集まらなくて。全国に募集範囲を広げたら、全国から集まったはいいものの、在宅勤務でないと仕事ができない状況に追い込まれました。それで一生懸命、在宅勤務が可能な環境を整えていきました。後々になって「リモートワーク」という言葉が生まれて、「ああ、自分の会社がやってきたことはリモートワークだったんだ」と後から意味づけをしたら、それでまた人が集まってきました。

僕らのやってきた事は、「そうした方が良いからやってきた」ことばかりです。清川村の「むら」の話も、もともと構想があって、むらづくりをはじめたというよりは、うちの社員が清川村の方と仲良くなって、流れに身を任せていたらこのような展開になっていて。プロジェクト開始から2年経って考えてみると、むらづくりとは、仕事がバーチャル化していく中でリアルな関係性を取り戻して行く取り組みなんだ、と改めて最近意味づけしただけなんです。

とにかくやってみて、そのことに後から意味をつけてみる。そこから見えてくるものに向かってまた取り組んでみることで未来がつくられていくということですね。

倉貫

振り返って、過去に意味づけをしなければ、ただ支離滅裂に色々なことをやっている会社になってしまうけど、時々振り返っては、一つひとつに意味づけをすることで、自分の会社像が見えてくる。過去への意味づけが、実は未来をつくることに繋がっているのだと最近強く感じます。

フューチャーセッションズは、バックキャスティングの大切さを伝えていますが、倉貫さんのおっしゃっていることは、バックキャスティングとも、フォアキャスティングとも違う。未来のつくり方を二項対立で捉えていましたが、新しい共創の方法を倉貫さんは示してくれました。今後、共創において重要な考え方になってきそうです。

倉貫

会社も人数が増えて、僕も以前より時間ができたので今年はポッドキャストをはじめてみたり。楽しみながら、直感的に色々なことに取り組むことで、何かが生まれるのではないかなと思っています。

10年間一緒につくってきた、フューチャーセッションズのプラットフォーム「OUR FUTURES」も、次の10年にむけて新たなかたちを共創していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

編集後記

「納品のない受託開発」や「リモートワーク」などの最先端の働き方を牽引してきた倉貫さんの、ありたい未来を描いてから行動することをほとんどしてきていない、という言葉に刺激を受けました。
ありたい姿を描くとき、未来に影響を与えそうな現象を「変化の兆し」として捉え、それらを組み合わせながら未来像を描写する、といった進め方をとることが多いように思います。ここでの「兆し」は、自分ではない誰かが起こしている兆しです。倉貫さんがやってきたことは、このような客観的な兆しではなく、必要に迫られたこと、そうした方が良いと思ったことに対して、まずは自らやってみて、得られた洞察を振り返り意味付けすることで見えてきた未来像に名前を付け、私たちに示している。いわば自分自身が変化の兆しになっているんだなと気が付きました。
社会に起きはじめている変化の兆しを捉えることは、未来に備えるために大事なことだと思います。けれど小さくても良いから自らが変化の兆しとなって行動し、振り返って得られた気付きを意味付けして未来づくりを体現していく。このような行動を増やすこともまた、これからの社会にとってますます大事になるのではないかと感じました。

(筧)

プロフィール

倉貫 義人(くらぬき よしひと)
株式会社ソニックガーデン 
代表取締役社長

大手SIerにて経験を積んだのち、社内ベンチャーを立ち上げる。2011年にMBOを行い、株式会社ソニックガーデンを設立。月額定額&成果契約で顧問サービスを提供する「納品のない受託開発」を展開。全社員リモートワーク、オフィスの撤廃、管理のない会社経営など新しい取り組みも行っている。著書に『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』『管理ゼロで成果はあがる』『「納品」をなくせばうまくいく』など。「心はプログラマ、仕事は経営者」をモットーに、ソニックガーデンの掲げるビジョン達成のための経営に取り組んでいる。

筧 大日朗(かけい だいにちろう)
株式会社フューチャーセッションズ 
代表取締役副社長

富士ゼロックス株式会社にてソフトウエア開発に従事した後、2007年よりKDI (Knowledge Dynamics Initiative)にて知識経営リサーチ・コンサルタント。知識経営視点でのワークスタイル/ワークプレイスデザイン、R&Dプロセスデザイン、デザイン思考による新サービス開発、未来シナリオを基点とした事業革新といった変革活動の推進と支援を手掛けてきた。2012年10月より株式会社フューチャーセッションズに参画し、2019年8月より現職。
人や組織の間にある変化を阻む慣行軌道・意思決定・行動変容の問題を解決する方法論やプログラム開発をリードし、創造的な組織への変革を推進する事業開発・組織開発・地域開発プロジェクトを多数手がけている。プログラマであった経験を活かし、2012年創業当時から「OUR FUTURES」の企画・開発・運営に携わる。