プロジェクト事例 PROJECTS
【Future Dialogue 2101】#1 分身ロボット「OriHime」 × Future Sessions

Future Dialogue 2101 第1回 分身ロボットOriHimeをはじめとしたコミュニケーションテクノロジーの開発・提供を行うオリィ研究所とのコラボレーション

概要

プロジェクト期間
2023年1月23日(月)19:00-21:00
課題・背景
多様なセクターや世代のメンバーが対話を通して未来の兆しを共体験し、未来の妄想を創造するには?
支援内容
講座企画・ファシリテーション
体制

プロデューサー兼ファシリテーター:有福 英幸(フューチャーセッションズ)

ストーリー

【Future Dialogue 2101 未来を共妄想する!】

Future Dialogue 2101は多様なセクターや世代のメンバーが、対話を通して未来の兆しを共体験し、未来の妄想を創造する場です。毎回、様々な取り組みをされている方々をパートナーにお招きし、実験的な空間や体験と共に対話していくシリーズを展開します。
2101年にはどのような景色が広がっているのでしょうか?一人では生み出せない妄想を参加者の皆さんと共に描き、22世紀の未来に想いを馳せていきます。
第1回目は、「テクノロジーで人類の孤独の解消を目指すこと」をミッションとして、分身ロボットOriHime(オリヒメ)をはじめとしたコミュニケーションテクノロジーの開発、提供を行う株式会社オリィ研究所とのコラボレーションです。

【分身ロボットOriHimeも対話に参加

今回の対話の場は、オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェDAWN ver.β」。難病や重度障害などの理由によって外出困難な従業員が、分身ロボットOriHimeを遠隔操作してサービスを提供しているカフェです。
私たちの生活の中で身近になりつつあるロボットですが、OriHimeは社会参加を妨げる要因となる、「移動」「対話」「役割」といった課題を克服することを目的とするのが大きな特徴となっています。
セッションでは、
OriHimeパイロットとして働く方々も各テーブルに着いて、対話に参加しました。
分身ロボットOriHimeの操縦者

 

【一人ひとりの妄想をかけ合わせてアイデアにつなげる

はじめに、フューチャーセッションズ代表の有福が、セッションの概要や目的などについて話しました。 

有福)昨年、フューチャーセッションズは創業10周年を迎えました。その記念企画で、つながりのある方々と対話の場を創る、というものがあったんです。普段はあまりつながりの無い方々同士が交わることで、新しいことを起こすきっかけが生まれることがあります。
今日のセッションの目的は、「未来を共妄想する!」。
立場の違う皆さんの多様性から学び、一人ひとりの妄想をかけ合わせることで、どんな新しい未来が出現するのか?ということを、一緒に考え、新しいつながりを生み出す場にしたいと思います。

 

テクノロジーで人類の孤独の解消を目指す

各グループで自己紹介をした後、オリィ研究所の坂下さんから、オリィ研究所が提供していることや、分身ロボットOriHimeが生まれた経緯、開発のきっかけとなった想いなどをお話しいただきました。
オリィ研究所の目標は、「テクノロジーで人類の孤独の解消を目指すこと」。孤独化の原因は、「移動」、「対話」、「役割」などの課題から生まれます。それをテクノロジーで解決し、これからの時代の新たな「社会参加」を実現していくことを目指しています。

OriHimeを使うことで、様々な制約によって参加を諦めなくてはならなかった人が、結婚式や卒業式などに参加することができた事例や、分身ロボットカフェで働くOriHimeパイロットの方々が社会と繋がる様子をご紹介いただきました。
病気や障害などで外出困難であっても、やりたいことの選択肢があって、それを諦めなくてもいい。そんな社会をテクノロジーで創っていきたい、という想いが伝わってきました。

 

OriHimeが私と社会をつないでくれる

続いて、OriHimeパイロットとして、分身ロボットカフェで働く“ふーちゃん”こと三好史子さんが島根県から参加してくださいました。
生まれつきの障害によって、普段は電動車椅子で生活しているふーちゃんですが、OriHimeを通して働くことで、これまでできなかったことができるようになり、活動の幅が広がったと言います。体が動かなくてもいろいろなことにチャレンジすることで、自分にできないことはないと思えるようになった、ということを生き生きと話されていました。
「OriHimeは私と社会をつないでくれる」という言葉がとても印象的でした。

2101年に実現したい社会って?キーワードを挙げてみよう

後半のグループ対話に入る前に、有福から示されたのは、1900年から2100年までの大きな時代の流れを表した年表。例えば、世界人口だけを見ても、1900年に16億人だったのが昨年80億人を突破し、今後も増加していくことが予測されています。

2050年まではなんとなく起きることが既に見えてきているけれど、そこから先の未来を予測するのに必要なのは一人ひとりの妄想力です。
各グループで「これからこんなことが起きるのではないか?」というキーワードを挙げて、どのような2101年の未来を実現するかを妄想していきます。
まずは付箋に思い付いたキーワードをどんどん書き込むところから始まり、少しずつ発想を飛ばしていく過程を皆さん楽しんでいました。

 

共妄想から生まれた実現したい未来社会

グループでひたすらキーワードを挙げて対話した後は、アウトプットの整理をします。
たくさんのキーワードの中から、各グループで象徴的なキーワード2つをかけ合わせ、それを起点に未来社会を描いてみることでさらに発想を飛ばし、こういうふうに言えるのではないか?という未来社会のイメージを描きました。
 一見、関係無さそうに見えるキーワードをかけ合わせてみることで、新たな未来社会につながるイメージが見えてくるのが不思議です。
最後に、皆さんの常識にとらわれない発想から生まれた6つの未来社会アイデアについて、プレゼンテーションしてもらいました。

① 「生体充電」×「空中浮遊」
生体充電と空中浮遊ってUFOなんじゃない?という話から、2101年はUFO飛び交う社会になるのではないかという話に発展しました。日本や世界、地球という枠も越えた、宇宙人と友達の社会になるのではないでしょうか。

「タイムマシン」×「不便を求める」
人は過去に戻って未来を変えてはいけない、という倫理観が働きますよね。そんな話をしながら生まれたひとつのユートピアとして、環境活動家のグレタさんのような高い環境意識を持った人が、対話と環境データを使って、人間を動物に戻し、自然回帰の社会をつくっていくということを考えました。また、反対にディストピアとしては、生物科学者が遺伝子組み換えをして、進化した人間を創り出すのではという話をしました。

③「奪い合わない社会」×「エシカルOS」
OriHimeのように自分の体を拡張して、これまで実現できなかったことができるようになると、選択肢が多いからこそやってはいけないことも多くなります。「たった一つの守るべきルール」のようなものが定められ、何か倫理観から外れることをすると脳内チップに電流が走って止められる、自然回帰も含めて、地球が持続可能になるかどうかが大きな判断基準になっているのではと思います。脳内にエシカルOS的なものが埋め込まれてその制御の中で自由を満喫する、という未来になっているのではないでしょうか。

④「財産を“取っておく”“増やす”がなくなる」×「人間が飛べる」
人は渡り鳥のようになって定住をやめます。人類にとって必要なものは必要な季節に必要な場所にあって、飛べるので移動していきます。必要なものは地球のどこかにあるので、必要最低限の持ち物があればいいわけです。渡り鳥のような暮らしをした結果、自然との共生や原始的に回帰した社会になります。日本発の兆しとして、既に片付けコンサルタントのこんまりさんがNetflixでいらないものは捨ててしまおうという文化をコンテンツとして発信していて、それが流行っているということがこの未来社会の可能性を見せてくれていると思います。 

⑤「五感体験の共有 嗅覚・味覚」×「空間」
空間を隔てて五感を共有できるような世界を想像しました。五感の共有と月への移住をかけ合わせると、場所の制約が無くなるので、月に行っても地球にいるような体験ができるし、その逆も可能です。五感を共有することで、空間を隔てても場所に関係なく共有されていきます。それによって、例えば月のような新たな生活境地を開拓していく世界になるのではないでしょうか。 

⑥「超人オリンピック」×「本能的な欲求」
超人オリンピックでさえ許容される、という世界になっているかもしれません。ロボットと共存・共生する世界観がある一方で、人間が求める欲求はこれから100年経ってもあまり変わらないかもしれない。
「100年後にスポーツが変わっているのか?」という問いについても、結論としては変わっていないのではと思います。勝ち負けに盛り上がる気持ちは変わらないけれど、戦うデバイスは人間の身体能力を超えて何でもありのルールになっていて、その中で競い合って勝ちを求める、という世界観はあり得るのではと考えました。


参加したOriHimeパイロットの方からのコメント

今回は8人のOriHimeパイロットの皆さんもOriHimeを通して参加してくれました。参加者の皆さんのコメントの一部を紹介します。

「病気を患って、未来なんてないと人生をあきらめていた私が、OriHimeと出会い、就労することで前を向いて歩きだしました。今回、自分の分身のOriHimeでこのような未来を創造するセッションに参加させていただき、多くの方と議論できたことが本当にうれしく、あきらめなくてよかったと思います。未来を一緒に考え、幸せな時間を共有させていただき、自分はまだまだ終わってはいない、と生きる力が再び沸き上がりました。是非今後もこのような機会に参加をし、議題や夢、そして未来を皆様とセッションしていきたい、再び前を向いて力強く歩き始める力を蓄えていきたいと思います。」

「日常では自分のいない78年後の世界を想像することなどないので、とても新鮮で楽しい時間でした。環境としては、複数のテーブルで同時多発的に対話する形式だったので、所々話が聞き取れずにわからないところもあったのですが、皆さんがOriHimeに好意的でご配慮くださったので、居心地が良かったです。未来に対して、私はどちらかと言えば辛辣な見方をしていたので、ポジティブな変容が起こるという意見が多く、驚きました。セッションの場にOriHimeパイロットがいることで、多様性の一翼を担えるのではないかなとも思いました。」

「2101年の未来を共に考え妄想する、という興味深いテーマで、立場の違う方々のご意見を伺い、自分では考えつかないご意見に驚きと刺激を受けました。OriHimeパイロットの経験やOriHimeの可能性を真剣に聞いていただき、一人の参加者として認識してくださったことがとても嬉しかったです。まさにカフェで参加しているような感覚で、とても楽しい時間でした。」

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「未来を共妄想する!」ことを目的に進めてきた、今回のセッション。
OriHimeも一緒に対話に参加している、という設定自体が今までに無く、参加された皆さんも少し先の未来を感じられる場となりました。
ワクワクする未来を創りたい、という想いを起点として、これからも未来の兆しを共有できるような対話を続けていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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