Future Sessions -10周年記念セッション- イベントレポート 10 FUTURES 未来社会共創セッション

2022年6月14日、株式会社フューチャーセッションズ設立10周年を記念したスペシャルセッションが東京・昭島のスノーピーク昭島アウトドアビレッジの屋外スペースにて開催されました。さまざまなフィールドで活躍する10名のゲストを招き、それぞれが感じている未来の兆しを共有し、これからの10年を構想しました。

チェックイン多様な業界で活躍する
10名のトップランナーが集合

開始時間が近づくにつれ、10名のゲストが次々に到着。当日は気温が低く雨も降っていましたが、外で対話する特別感に参加者の期待が高まっている様子。フューチャーセッションズの社員も交え、全員がタープの下に輪になり、トークが始まりました。

有福

本日はありがとうございます。皆さまのおかげでフューチャーセッションズは10周年を迎えることができました。10年の中で、多種多様な業界の方々と面白く、また大切なプロジェクトをご一緒し、かねてから『リアルに集まるセッションの場を設けたい』と思っていたのですが、コロナ禍ということもありなかなか実現できませんでした。今日はようやく実現することができ、とても嬉しいです。また、今日は何かアウトプットを生み出すことを敢えてゴールにせず、今日の新たなつながりが新しい未来につながると思ってセッションを企画しました。こんなにも雨がひどいとは思っていませんでしたが(笑)、それも気にならないくらい楽しいセッションになればと思います。

ゲストから「10周年おめでとうございます!」のお祝いの言葉が次々にかけられるとともに、拍手が起こります。

その後、10名のゲストと、フューチャーセッションズのメンバーが順番に自己紹介に加え、今日のセッションへの意気込みや未来に対する想いを語りました。

最初に口火を切ったのが株式会社スノーピークビジネスソリューションズの藤本さん。藤本さんから時計回りに話し始めます。

藤本 洋介さん

株式会社スノーピーク
ビジネスソリューションズ

普段は企業の方々に向けてアウトドアの研修や、オフィス環境に設置するスノーピーク製品の提案などを行っています。今日は初対面の方が多いですが、屋外で会議する気持ちよさを皆さんに伝えながら、交流をしたいと思います。
※特別対談 「原点は対話」

瀧田 希さん

CCCマーケティング株式会社
コミュニケーション戦略室

弊社が行っているデータをもとにした課題解決にあたっては、「対話」が不可欠と考え、フューチャーセッションズさんとご一緒しています。未来のことを考えるのってとてもワクワクしますし、新しいことを考えるのが好きなので今日はとても楽しみです!
※特別対談 「未来の食」

倉貫 義人さん

株式会社ソニックガーデン

フューチャーセッションズさんとは、創業前から交流させていただいていて、とても長いお付き合いになります。僕は未来を語るのが苦手なのですが、みなさんの未来の話を聞くのは大好きなので、どんなセッションになるかとても楽しみです。
※特別対談 「バーチャルとリアルの価値」

楠本 浩史さん

環境省 関東地方環境事務所
地域脱炭素創生室

上井さんから、「パブリックセクターのゲストを呼びたい」とお声がけいただきました。もし、お堅いコメントを求められているとしたら、ご期待に添えないかもしれません(笑)!「昭島のセッションから面白いことが起こった」と10年後に回想される場にしたいです。
※特別対談 「ローカルな共創の場」

石井 美加さん

資生堂クリエイティブ株式会社

あれこれと考えをめぐらす時間が好きです。フューチャーセッションは多様な視点に触れ、自分の考えをブラッシュアップすることができるのが魅力だと思います。今日のみなさんとの対話が、今後何かご一緒するきっかけになれば嬉しいです。
※特別対談 「人生100年時代の女性像」

秋元 七生さん

ブリティッシュ・カウンシル

世界各国100以上の国や地域にオフィスを持つ英国の公的な国際文化交流機関のアート部門で働いています。アートがどのような社会貢献を実現できるか、英国と世界の人を繋ぎ、一緒に考えることで新たなアイデアの誕生をサポートしています。今日もみなさんとの対話が、新たなアイデアにつながればと思っています。
※特別対談 「社会イノベーションの国際交流」

片岡 史憲さん

トヨタ自動車株式会社

月面探査車ではエンジニアとしてだけでなくアライアンスや広報戦略といった仲間づくりとファンづくりを担当。月面社会以外も社会課題解決やまちづくりまで幅広い業務に携わっていますので、みなさんのお仕事とも多くの共通点が見つかると思います。会場の雰囲気に合わせた服装にしたのですが、ラフすぎないか心配です(笑)。今日をきっかけに新しいことが起こるのが楽しみです。
※特別対談 「月面社会」

小国 士朗さん

株式会社小国士朗事務所

社会の中で大切で価値があるけれど、従来の方法では伝えるのが難しいことをクリエイティブ・アイデアの力で多くの人に届けることを仕事にしています。今日も多様なゲストの方がいらしていて、どんなお話が聞けるのか気になっています。僕の白い靴が雨の屋外でどう変化するかも気になっています。みなさんも見守っていてください(笑)!
※特別対談 「誰もが関わりたくなる問い」

徳田 雄人さん

株式会社DFCパートナーズ

テレビ番組のディレクターとして取材をして以来、認知症の方々にとって、医療介護以外の様々な場の配慮がまだまだ不足していると感じ、独立しました。独立したものの、何をしたらいいか迷っていた時にフューチャーセッションズに出会い、今の事業につながるアイデアが生まれ、感謝しています。これからの10年ですが、いまの事業とは別に、これまでにないコンセプトの日本ワインを作りたいなと妄想中で、今日はこの場からそのヒントも得たいと思っています!
※特別対談 「課題を起点に街や社会を変えていく」

中吉 雅代さん

株式会社オリィ研究所

過去の10年、プライベートではフューチャーセッションズに出会い、オリィ研究所で仕事をすることになるなど想像のつかないことばかりでした。今後の10年も予測がつかないなりに直感を大切に、楽しんで進んでいきたいと思っています。
※特別対談 「繋がりの循環」

プロトタイピング「もっと続けたい!」雨に負けず、
熱く盛り上がるセッション

チェックインでお互いのことを知った後は、フューチャーセッションズのメンバーも加わり3〜4名の少人数に分かれて「今後起こしたい変化」をテーマに3回のグループ対話を実施。自由な内容で対話が進行されます。活躍のジャンルも、起こしたい変化もさまざまなゲストの方々ですが、その中でも共通するキーワードが数多く上がった様子で、「テロワールとコミュニティ」「スポーツ観戦とダイバーシティ」などを話題にそれぞれの立場から対話が繰り広げられました。

グループ対話の後は、各自気になったキーワードを発表しました。

前半「起したい変化」を対話した後は、雨が続き冷える中でのコーヒーブレイクを兼ねた小休憩。対話は休憩中も途切れることなく続きます。会場中央には火が焚かれ、参加者同士の距離も縮まり、冷え込んだ屋外会場もぐっと温まった様子。「焚き火を囲むと、みんなが焚き火に目線を合わせるので緊張がほぐれて話しやすいみたいですよ」と藤本さん。

「温かい!」「ここでお肉やマシュマロも焼きたい!」など盛り上がる会場

後半のグループ対話でも、テーマが自然に生まれ、話が盛り上がっていきました。
あるグループでは「ノビノビ」というキーワードをきっかけに、今後10年の「多様性を排除しない社会」について話が広がります。

倉貫

自社の社員数が50名を越えて気づいたのは、『社員数が増えると会社は真面目になる』ということ。小人数のうちは会話もしながら和気藹々と仕事していたのが、社員数が増え、各自の役職や役割が明確になるのでかえって『会社のために!』と頑張る人が増えた気がします。ありがたいと思いつつも、力み過ぎず全員がノビノビ仕事ができる環境をつくるにはどうしたらいいだろう?と、日々考えています

中吉

力みすぎず、常に余裕をもって働くことは、新しい発想にもつながるので大事ですよね。コロナ禍でオンライン会議も増えて、リアルな場で雑談する機会が減ったので、一緒に仕事をする仲間の人となりが分かりにくくなったと感じることもあります。

倉貫

僕の会社はコロナ以前から全社員がリモートワークを実施していて、2016年にオフィスを無くしたら雑談が一切なくなってしまったんです。『これはまずいな』と思って、社内で『報・連・相をやめて、雑談と相談=雑・相(ざっそう)をやりましょう』とアナウンスしました。

秋元

雑談の重要性は私も感じていました。増やすにはどうしたら良いのでしょうか?

倉貫

とにかくリアルな場で会うことが大事かなと僕は思っています。自社でも、年に数回社員が集まる合宿を開催していて、今日のように焚き火を囲みながら話す機会を設けています。焚き火を囲んでいると人間、心の内面をどんどん話したくなるような、焚き火の力はすごいです。

秋元

私は活動の中で、社会や人の『多様性』を反映できているか気になっていました。多様な観点に触れ、理解を深め、取り入れることにも「雑・相」は役立ちそうです。

またあるグループでは、「水平な関係性」というキーワードをきっかけに対話が繰り広げられました。

徳田

水平な関係性ってなんだろう?と日頃思うんです。例えば親と子どもは水平な関係なんでしょうか?

片岡

キャッチボールのように、子どもが受け取りやすいように言葉を選んで投げかけて、子どもの主張をしっかり受け取ることはできますね。

徳田

はい。でも、はたして子どもに親が目線を合わせることが本当にフラットな関係性なのか、とふと疑問に思うことがあります。

その意見はとても興味深いですね。

片岡

共通のコミュニティや体験は互いの距離を縮め、水平な関係を築くきっかけになるかもしれませんね。

スポーツ、アートそれから宇宙体験も共通の体験になり得そうです。

片岡

宇宙を知り、宇宙から地球を俯瞰する視点が得られると、地球上における国や人種、文化などの違いが気にならなくなります。これが『アースリング(地球人)』の視点です。全人類にとって、宇宙体験は人間同士の違いや格差を超えられるきっかけになりそうです。

徳田

話していて気づいたんですが、フューチャーセッションがやっているのって、まさに水平な関係性を作ることですよね。いつもセッションの場は『変なことを言っても受け入れてもらえる』という妙な安心感があります(笑)。

トップダウンの傾向が強い会社でセッションをやると、忖度しない発言があった時、『失礼じゃないか!』と叱られてしまうことがあるんです。そうではなく、多様な人が対話するための関係性構築として理解していただけるようもっと努力したいですね。

徳田

10年後、こういった水平な関係を抱えたコミュニティが、小さくてもたくさん生まれると、前向きな変化が起こる社会になりそうですね。

と、ここでグループ対話終了の合図。

「あっという間に時間が過ぎていきました!」「もっとお話ししたい!」など、グループでの対話を楽しんでいるゲストの方々から名残惜しそうな声があがりました。

チェックアウト次の10年に向けた関係を築く1日に

最後に、本日のイベントを終えての気づきや、今日をきっかけに次の10年に向けて活かしたいと思ったことを一人ずつ共有しました。

藤本

10年後に向けて、今日のように、組織や肩書きも関係なく、様々な人たちがフラットに話せる場・プラットフォームをつくりたいという思いが強まりました。

倉貫

多様なフィールドで活躍する皆さんとお話しして、インスピレーションが沸きました。自己紹介を聞いているだけでも思いつくことが沢山で、スマホにメモしたいと思ったのですが失礼かなと思ってやめました(笑)。休憩中にたくさんメモしておいたことが、また未来につながると思います。

中吉

普段、仕事でアウトプットを求められる中で発想が狭まりがちなのが、面白い考えをもった方々とお話しして考えが広がりました。このような体験ができるフューチャーセッションはまさにこの時代にぴったりだと感じています。

秋元

今日集まった人の数だけ多様な未来があり、それぞれに可能性を感じました。皆さんの考える未来からインスピレーションをいただいて、自分なりの未来を描きたいと思います。

小国

僕は未来に向けて、常に『あたりまえを営む』ことを目標にしているのですが、感染症の流行や戦争の勃発など、近年『あたりまえ』がどんどん変化しているのを感じています。そんな中で、自分にとって『あたりまえ』とは何だろう?と対話を通して改めて考える貴重な機会になりました。

石井

人をつなぐ場をつくりたいと思って仕事をしていますが、ビジネスの場だと様々な利害関係もあり、難しさを感じることがあります。久々にセッションに参加して、このような非日常的な空間でフラットな関係で対話すると、ビジネスの場で考えるのと全く違うアイデアが湧いてくるのを体感しました。

瀧田

今後10年は、個人が自由に発信し、よりカジュアルに価値が創造される未来になると思います。自分なりにも価値創造を積み重ねて、その先にある楽しみを見つけたいです。久々のリアルセッションで、やっぱり場の雰囲気を肌で感じられるのが最高だと思いました!

徳田

水平な関係性で対話することの心地よさや、それにより広がるアイデアを感じ、やはり自分もこのような関係性が社会に増えるような場づくりをしていきたいと改めて思いました。ワインづくりという妄想に向けても素晴らしいつながりを本日いただいたので、フューチャーセッションズの20周年イベントにはワイナリー業界の者として、参加できたらよいなあと思っています!

片岡

最近、『次の世代にどうバトンをつなぐか』ということをよく考えています。フューチャーセッションで全員がフラットに対話をして新しいものが生まれる感覚を子どもたち世代からもっと体験して欲しいです。そうすれば将来もっと色々な人がつながって多様な未来が生み出されるのではないかと思います。今日あらためて未来のための教育に取り組んでみたいと思いました。

楠本

これまでの10年の自身の取り組みテーマは、『ハブになる』ことと『多様性の実現』でしたが、セッションに参加してこれから10年取り組んでみたい新たなテーマが3つ生まれました。人々を能動的に『つなげる』ことで、関係性を『広げて』、そこから生まれたアイデアを『動かす』ことに取り組んでいきたいです。日本に面白い公務員はたくさんいます、是非つながって未来をつくっていきましょう。

終わりを告げるかように焚き火も弱まったところで、本日のイベントが終了。この場でできたつながりが、また次の10年の未来をつくることを期待させる1日となりました。

10FUTURES
未来社会共創
セッションを終えて

この10年、様々な企業や組織、地域の方々とプロジェクトをご一緒してきましたが、改めて素晴らしい方々に恵まれていることを痛感しました。
それぞれが立場を超えて協力しながら自分たちが起したい未来を作っていくことでしか、これからの社会で生き延びていくことはできないのではないかと感じています。皆さまとの対話を通じて、私たちがやるべきこと、社会で果たすべき役割が、よりクリアになったと感じています。
1回のセッションでは、参加できる人数に限りがありますが、多様な方々が集い、フラットに対話し、新しい未来社会を共創するプラットフォームとして、継続的にこのオープンセッションを実施していきます。ぜひ一緒に未来社会を構想していければと思います。

(有福)